大手証券会社では唯一無条件で管理運営費用が無料となっているのが大和証券です。
ideco(個人型確定拠出年金)は拠出するうえにはさまざまな手数料が必要です。
このうち加入者が節約することができるのは金融機関の取り分である管理運営費用ですね。
これが無条件で無料となっているのは主にネット証券なのですが、なかには大手証券会社の安心感が必要と感じられている方もいらっしゃるでしょう。
今回は大手証券会社の一角である大和証券のidecoプランがどのようなものかについてご紹介したいと思います。
大和証券のidecoの感想
大和証券のidecoを調べてみての感想についてからお話ししたいと思います。
一言で言うとネット証券が利用できる方はそっちのほうがいい
というものです。
取扱商品はリスク商品14種類、元本確保商品1種類の合計15種類しかありません。
しかも他のネット証券では複数選択肢のあるインデックスファンドは大和証券ではいずれも1種類のみとなっています。
そのインデックスファンドもコストは比較的高い部類に属するものばかりで魅力にかけていると感じました。
通常は国内向けは海外向けに投資する商品と比較して信託報酬は低いのが通常なのですが、
大和証券のidecoで取り扱われている商品は、国内向けよりも海外向けの商品のほうが信託報酬が高くなっています。
バランスファンドはすべてアクティブファンドとなっており、信託報酬も非常に高額となっていることがわかりました。
idecoに加入するのは私たちのような年金を受け取るのにはまだまだ先の世代です。
その世代向けに取り揃えた商品としては非常にお粗末に感じられました。
会社からある意味押し付けられる企業型確定拠出年金ならばともかく、金融機関を選択できるidecoではもっと良い商品を取り扱っている金融機関があります。
そのため、利用者も大手だからと信頼し切るのではなく、他の金融機関を調べてみてはどうかと思います。
商品ラインナップなどで加入者を獲得しなければならないネット証券と比較してまだまだ本腰ではないなという印象を私は持っています。
しかしです、通常ならばこれに加えて運営管理手数料を徴収されています。
ファンドのラインナップはともかく、大手証券会社が無条件で運営管理手数料を無料にした意義は大きいと感じました。
ファンドの信託報酬とと運営管理手数料の両面から手数料を取られまくっていた状況からの変化ですのでその点は大きく評価したいと思います。
では、次に取扱商品についてみてみたいと思います。
取扱商品
大和証券のidecoは取扱商品がリスク資産14種類、元本確保商品1種類の合計15種類となっています。
バランスファンドをのぞくそれぞれの資産は1種類のインデックスファンドと株式へ投資するファンドへはアクティブファンドを揃えています。
それぞれの資産(アセット)別に商品をご紹介していきます。
元本確保商品
元本確保商品としては、定期預金がラインナップされています。
あおぞらDC定期(1年)
株式
株式へ投資するファンドはインデックスファンド1種類とアクティブファンドをラインナップ。
国内株式
国内株式に投資するファンドはインデックスファンド1種類とアクティブファンド1種類の合計2種類となっています。
スタイル | 取扱商品 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|---|
インデックス | DCダイワ日本株式インデックス | 0.2700% | 0 |
アクティブ | フィデリティ・日本成長株・ファンド | 1.6524% | 0 |
インデックスファンドであるDCダイワ日本株式インデックスはTOPIX(東証株価指数)に連動するように作られた商品となっています。
運営管理費用(いわゆる信託報酬)は0.2700%です。
これでも信託報酬は以前のレベルだとローコストと言われるレベルでした。
ところが、現在販売されているローコストインデックスファンドよりは多少コストの高いインデックスファンドとなっていますので、よりコストの低いインデックスファンドに投資したいと感じられる方には向きません。
海外株式
海外株式は先進国に投資するインデックスファンド1種類と、アクティブファンド4種類の合計5種類を揃えています。
スタイル | 取扱商品 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|---|
インデックス | DCダイワ外国株式インデックス | 0.2700% | 0 |
アクティブ | UBS中国株式ファンド | 1.80576% | 0 |
アクティブ | ダイワ・ロシア株ファンド | 1.8144% | 0 |
アクティブ | ダイワ・ブラジル株式ファンド | 1.8144% | 0 |
アクティブ | 大和住銀DC外国株式ファンド | 1.9656% | 0 |
こちらもインデックスファンド1種類とアクティブファンド4種類という構成です。
インデックスファンドは先進国株式に投資するDCダイワ外国株式インデックスのみで、新興国株式へ投資するインデックスファンドはありません。
新興国へ投資する場合には、ブラジル・中国・ロシアの国別に投資するアクティブファンドを選択する必要があります。
債券
債券は国内債券・海外債券ともにインデックスファンド1種類ずつをラインナップ。
国内債券
スタイル | 取扱商品 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|---|
インデックス | DCダイワ日本債券インデックス | 0.2700% | 0 |
国内債券に投資するインデックスファンドは「DCダイワ日本債券インデックス」1種類のみとなっています。
信託報酬は債権へ投資するインデックスファンドにしてはお高めの年0.2700%。
大和証券のidecoで扱う株式インデックスファンドと同じ信託報酬となっています。
海外債券
スタイル | 取扱商品 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|---|
インデックス | DCダイワ外国債券インデックス | 0.2484% | 0 |
海外債券へもインデックスファンド1種類となっています。
なぜかこちらの信託報酬は国内債券向けのインデックスファンドよりも信託報酬が低く、年0.2484%です。
REIT
REITも国内・海外ともインデックスファンドを揃えています。
国内REIT
スタイル | 取扱商品 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|---|
インデックス | DC・ダイワJ-REITオープン | 0.5940% | 0 |
海外REIT
スタイル | 取扱商品 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|---|
インデックス | DCダイワ・グローバルREITインデックスファンド | 0.5724% | 0 |
REITも国内・海外ともに1種類ずつのインデックスファンドなのですが、こちらも国内よりも海外へ投資するインデックスファンドのほうが信託報酬が低くなっています。
バランスファンド
なかなか香ばしいファンドラインナップが続きます。
最後にご紹介するのはidecoではかならずラインナップされているバランスファンドです。
管理運営費用無条件ゼロ円の金融機関それぞれが特色のあるバランスファンドを取り揃えていますが、大和証券もある意味独特です。
一言で言うと高額ボッタクリバランスファンドのオンパレードです。
ラインナップは以下の3種類。
スタイル | 取扱商品 | 実質的な運用管理費用(税込) | 信託財産留保額 |
---|---|---|---|
アクティブ | DCダイワ・ワールドアセット(六つの羽/安定コース) | 0.9720% | 0 |
アクティブ | DCダイワ・ワールドアセット(六つの羽/6分散コース) | 1.1340% | 0 |
アクティブ | DCダイワ・ワールドアセット(六つの羽/成長コース) | 1.2960% | 0 |
手数料
大和証券のidecoは大手金融機関のうち唯一無条件で管理運営費用が無料となっています。
他の大手金融機関でも管理運営費用が無料となっているところはいくつかありますが、大和証券を除いては現在のところすべて資産額など条件付きとなっています。
そのため、大手金融機関でidecoを始められる方にとっては大和証券の無条件管理運営費用無料というのは非常に魅力的です。
iDeCoはさまざまな手数料がかかります。
大和証券だけでなく、「手数料ゼロ」をうたっている金融機関は運営管理手数料という金融機関の取り分の手数料がゼロとなっています。
そのため、国民年金基金連合会や信託銀行へ毎月拠出した資金から手数料が徴収されますので気をつけていただければと思います。
ちなみにiDeCoで資金を拠出するには以下の手数料がかかりますのでごらんください。
A:毎月資金を拠出する場合
手数料徴収先 | 金額 |
---|---|
国民年金基金連合会 | 月額103円 |
信託銀行 | 月額64円 |
合計 | 月額167円 |
B:新たな掛金積立を行わない場合(運用指図者)
手数料徴収先 | 金額(税込) |
---|---|
信託銀行 | 64円 |
新規加入時や給付・還付、そして金融機関を乗り換える際にも手数料がかかります。
C:手続時にかかる手数料
手数料の種類 | 支払先 | 金額(税込) |
---|---|---|
新規加入手数料 | 国民年金基金連合会 | 2,777円 |
給付手数料 | 信託銀行 | 432円(1回あたり) |
還付手数料 | 国民年金基金連合会 | 1,029円(1回) |
信託銀行 | 432円(1回) | |
移換時手数料 | 大和証券 | 4,320円 |
さすがに運営管理手数料がゼロとはいえ、大和証券から他の金融機関に乗り換える際には大和証券への手数料が必要となりますのでご注意ください。
このような方にオススメです。
では、大和証券のidecoはどのような方におすすめなのかについて考えてみましょう。
私が考えるおすすめな方はずばり
大手金融機関で少しでも手数料を安くidecoをしたいと考える方
ですね。
ファンドのラインナップも多少はマニアな私にとっては物足りないどころか、アクティブファンドが盛りだくさん、
そしてインデックスファンドも現在のローコストインデックスファンドではなく若干信託報酬は高めです。
しかしながら、ネット証券に資産を託すのが不安な方もいらっしゃるでしょう。
そのような方にとって大和証券のidecoは無条件管理運営費用無料という強みがありますので他の金融機関みたいに管理運営費用を徴収されるのがないだけまだましだと感じています。
はっきり言って、ファンドやサービスに魅力は感じていません。
あくまで「寄らば大樹の陰」ですが、大手金融機関なら安心と考えられる方にはまだましな選択肢なのかなと思っているだけです。
もし、大和証券のidecoを検討されるのでしたら資産構成は以下のようにされることをおすすめします。
- それぞれの資産のインデックスファンドの組み合わせ
- 税額控除を狙った定期預金の利用
バランスファンドを中心としたアクティブファンドは魅力的なタイトルが並んでいます。
しかしながら、それらはすべて高コストな商品ばかりです。
インデックス投資家の一人としてこのようなファンドはおすすめすることはできません。
ですので、大和証券のidecoではぜひ「インデックス」と書かれた商品でポートフォリオを構成していただければと強く感じています。
まとめ:管理運営費用は無料ですが、高コストファンドが多いので要注意
今回は大手金融機関で唯一無条件で管理運営費用がゼロ円となっている大和証券のidecoをレビューしてみました。
大手金融機関では条件付きというのが多いなか無条件で無料化に踏み切ったのは評価したいと感じています。
ただ、商品構成が利用者にアクティブファンドをポートフォリオに入れてほしいと感じられるようなラインナップでした。
大和証券のグループではローコストインデックスファンド「iFreeシリーズ」があるのですから、これをラインナップに入れられたらぐっと魅力が上がると感じています。
無条件管理運営費用が無料な金融機関を探されている方の参考になれば幸いです。
では、またよろしくです!
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