日本を含む全世界の株式市場に投資するインデックスファンドが熱くなってきました。
今回は三菱UFJ国際投信のローコストインデックスファンドシリーズ”eMAXIS Slim”シリーズに全世界株式(オール・カントリー)がリリースされることになりました。
かつては全世界株式に投資しようとしても日本を除くというものばかりでした。
全世界株式に投資しようとすると必ず複数のファンドとなってしまったものです。
楽天全世界株式インデックスファンド(いわゆる「楽天VT」)のリリース後、1本の投資信託を保有するだけで日本を含む全世界の株式を保有することができるファンドが複数登場したのはとても喜ばしいことだと思います。
そこでこの記事ではeMAXIS Slim”シリーズに全世界株式(オール・カントリー)について感じたことについてお話ししたいと思います。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)について感じたこと
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が三菱UFJ国際投信からリリースされることになり、感じたことについてお話ししたいと思います。
私が感じたのは以下のとおりです。
- 全世界株式をこれ一本で超ローコストに投資できる
- これと無リスク資産のシンプルポートフォリオもおすすめ
- 他のファンドを売却して乗り換えるのはちょっと待ったほうがいいかも
これ1本で全世界株式をローコストでカバーできる!
まず感じたのは楽天VTよりもローコストで全世界株式をカバーできるということです。
ローコストで日本を含む全世界株式をカバーできるインデックスファンドは楽天・全世界株式インデックス・ファンドが先行しています。
楽天・全世界株式インデックス・ファンドは登場以来人気が上々で純資産総額が130億円超となるインデックスファンドとしては大ヒット商品の一つとなっています。
それに真正面から殴り込みをかけてきたと思わざるを得ません。
目論見書上での信託報酬は税込み0.1144%、信託財産留保額はゼロと以前のインデックスファンドでは考えられないようなローコストです。
初めてインデックスファンドで積み立てると考えられている方にとってはファーストチョイスと言ってもいいくらい。
これ1本で全世界47の国と地域(先進国:23の国と地域、新興国:24の国と地域)に投資することができます。
ライバルである楽天・全世界株式インデックス・ファンドがベースとするETFのVT(バンガード®・トータル・ワールド・ストックETF)の経費率は0.09%です。
これよりわずかに上回るくらいの信託報酬でドルへの両替も必要なく、100円からつみたて可能となるのはいい時代になったのだなと実感しています。
これと無リスク資産のシンプルポートフォリオもおすすめ
これだけローコストで日本を含む全世界株式に投資をすることができるのですから、超シンプルなポートフォリオとしてeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と無リスク資産(預金や現金など)を組んでみるのもいいですね。
ごちゃごちゃとファンドをたくさん保有するよりはシンプルになるぶん、管理も簡単になるメリットがあります。
たとえば日本・先進国・新興国株式の3ファンドを持っている方はこれ一つにするとリバランスの手間も減り管理する手間も減るのではないでしょうか。
ただしこの場合には自分がどれくらいの資産が減っても耐えられるかを考えたうえでポートフォリオを組んでいただけたらと思います。
とくに現在は株式市場が不安定になりつつありますので、マーケットが一気に下落するという可能性も増えつつありますので無リスク資産に重きをおいたポートフォリオにしたほうがいいくらいですね。
売却してまで乗り換えるのは待ったほうがいい
目論見書上での信託報酬が信託報酬は税込み0.1144%、信託財産留保額はゼロという超ローコストのeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)。
とってもコストが低いので乗り換えよう!と思う方もいらっしゃるかもしれません。
これは少し待ったほうがいいと思います。
ライバルの楽天・全世界株式インデックス・ファンドもリリース当初はローコストで全世界に投資できることで人気を博しました。
楽天・全世界株式インデックス・ファンドは先日第1回決算を迎えたのですが、1年目ということもあり想像以上にコストが高いことが判明してしまいました。
これと同じ事態がeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)でも起こりえます。
ですので、第1回目の決算を迎えるときまでは様子見か、新規積み立てのみeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)にするなど控えめな投資をすることをおすすめします。
「投信ブロガーが選ぶ!fund of the Year 2018」第3位に
2019年1月に開催された投信ブロガーが選ぶ!fund of the Year 2018では、登場間もないにもかかわらず、堂々の第3位に輝いています。
3位といっても、登場してから1ヶ月程度の短期間での3位ですからいかに投信ブロガーがおすすめに感じているのかがよくわかりますね。
詳細については以下のページをごらんください。↓
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)について
私が感じたeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)についてはほどほどにして、
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)についてご紹介していきましょう。
信託報酬などコスト
新しいファンドが登場すると毎回気になるのは信託報酬等の運用コストです。
まずはコスト面がどうなっているかについて見てみましょう
信託報酬
信託報酬は税込み年間0.1144%(税抜き年0.104%)と全世界株式に投資するファンドとして非常に低いものとなっています。
ライバルの全世界株式に投資するインデックスファンドと比較してみます。
ファンド名 | 信託報酬(税込) |
---|---|
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 実質年0.222%程度 |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式)) | 実質年0.1102%程度 |
全世界株式インデックスファンド(ステート・ストリート) | 年0.5184% |
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 年0.1144% |
表を見ていただいてわかるとおり、先行する楽天・全世界株式インデックス・ファンドや「雪だるま」のように海外ETFに投資するインデックスファンドと遜色ないローコストです。
そのため、コストが気になる方は翌年度以降の投資をおすすめします。
この信託報酬の配分は以下の表となっています。
特徴的なのは純資産額が増えるにつれて、委託会社である三菱UFJ投信の取り分がわずかずつ減っていくという点です。
ファンドの純資産総額 | 合計 | 委託会社(三菱UFJ投信) | 販売会社(証券会社など) | 受託会社(信託銀行) |
---|---|---|---|---|
500億円未満の部分 | 0.104% | 0.042% | 0.042% | 0.02% |
500億円以上1,000億円未満の部分 | 0.1035% | 0.0415% | 0.042% | 0.02% |
1,000億円以上の部分 | 0.103% | 0.041% | 0.042% | 0.02% |
ただ、三菱UFJ投信の取り分が減るといっても500億円以上からです。
通常インデックスファンドは500億円もの純資産総額になるものはほとんどなく、eMAXISシリーズのなかで一番純資産総額が高いeMAXIS先進国株式インデックスでも純資産は365億円ですのでしばらくは基本的な信託報酬のままだと思われます。。
申込手数料・解約手数料
申込手数料・解約手数料はともにかかりません。
いわゆるノーロード投資信託です。
信託財産留保額
「信託財産留保額」は、投資信託を解約する際にファンド側に支払ういわば手切れ金です。
この信託財産留保額もかかりません。
ちなみにeMAXISシリーズでもSlimではないものにはこの信託財産留保額がかかってきますので注意が必要です。
たとえば、eMAXIS 新興国株式インデックスの場合、0.3%の信託財産留保額が基準価額から割り引かれ、解約する口数をかけた金額が解約金額となります。
販売会社
つぎに販売会社ついてご紹介します。
2019年12月現在の販売会社は以下のとおりです。
販売会社 |
---|
岩井コスモ証券(インターネット専用) |
auカブコム証券 |
SMBC日興証券(ダイレクトコース専用) |
SBI証券 |
auカブコム証券 |
岡三オンライン証券 |
GMOクリック証券 |
ジャパンネット銀行 |
東京スター銀行 |
フィデリティ証券 |
ほくほくTT証券 |
松井証券 |
マネックス証券 |
三菱UFJ銀行 |
三菱UFJ国際投信ダイレクト(mattoco) |
LINE証券 |
楽天証券 |
今回はSBI証券も楽天証券もほぼ横並びのスタートとなります。
その後、資産が増えていくにつれ、取扱証券会社が増えてきました。
現在のところ、大手ネット証券ではほぼ購入することが可能となりました。
ときどき販売会社が増えたときにはアップデートしますのでお楽しみに。
どのようなポートフォリオで構成されるの?
この先進国・新興国47国・地域で構成されるMSCI ACWIのベンチマークなのですが、
このeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)では、どのようにして作られるのでしょうか。
このファンドでは3つのマザーファンドを組み合わせてMSCI ACWIに追従するファンドを作るとのことです。
構成されるマザーファンドと連動を目指すインデックスは以下のとおりです。
- 外国株式インデックスマザーファンド(純資産総額:3,345.2億円):MSCI コクサイインデックス
- 新興国株式インデックスマザーファンド(純資産総額:705.8億円):MSCI エマージング・マーケット・インデックス
- 日本株式インデックスマザーファンド(純資産総額:3.0億円):MSCI ジャパン・インデックス
1と2の外国株式マザーファンドは、それぞれ先進国株式や新興国株式のインデックスファンドのマザーファンドと同じものです。
それに対して、3の日本株式インデックスマザーファンドは、通常のTOPIXではなくMSCI・ジャパン・インデックス(配当込み)なのが新しくなっているところで注目されますね。
これら3本でいかにMSCI ACWIに追従していくかが運用を担当される方の腕の見せどころだと思っちゃいました。
実際の構成比率について
それでは、実際にこの3マザーファンドをどのように組み合わせてMSCI ACWIに追従するようなファンドを作っていくのでしょうか。
それがわかるニュースが三菱UFJ国際投信さんからリリースされています。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)ポートフォリオ構築のお知らせ:三菱UFJ国際投信ファンドリポートより
2018年11月1日に新規設定される際のポートフォリオは以下の通りとなっています。
上の図の通りでこのように構成されています。
先進国株式:新興国株式:日本株式=81.58%:11.06%:7.39%
この3ファンドを随時変化させて追従するようですね。
さすがに日本株式のマザーファンドは新規設定らしくわずか3億円とちょっと心もとないですが・・・
ファンドのベンチマークについて
このeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)のベンチマークはアメリカMSCI社の
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み・円換算)
略してMSCI ACWIと称しています。
この略称をご存知のかたもあると思います。
このベンチマークは先進国23国・地域、新興国24国・地域の合計47国・地域で構成されています。
構成されている国は以下のとおりです。
アメリカ大陸:アメリカ・カナダ
ヨーロッパ・中東:オーストリア・ベルギー・デンマーク・フィンランド・フランス・ドイツ・アイルランド・イスラエル・イタリア・オランダ・ノルウェー・ポルトガル・スペイン・スウェーデン・スイス・イギリス
アジア・オセアニア:オーストラリア・香港・日本・ニュージーランド・シンガポール
アメリカ大陸:ブラジル・チリ・コロンビア・メキシコ・ペルー
ヨーロッパ・中東・アフリカ:チェコ・エジプト・ギリシャ・ハンガリー・ポーランド・カタール・ロシア・南アフリカ・トルコ・アラブ首長国連邦
アジア:中国・インド・インドネシア・韓国・マレーシア・パキスタン・フィリピン・台湾・タイ
このファンドにおける国別投資比率は以下のとおりです。
国名 | 比率 |
アメリカ | 55.94% |
日本 | 7.27% |
イギリス | 4.74% |
中国 | 4.0% |
フランス | 3.35% |
その他 | 24.7% |
アメリカMSCI社の公式ページでは上位5カ国のみの公表となっていますが、6位以下は同じMSCI ACWIをベンチマークとする海外ETFのiシェアーズ MSCI ACWI ETFでは6位から12位まではつぎのとおりとなっています。
カナダ・ドイツ・オーストラリア・韓国・台湾・香港
どのような株式で構成されるの?
MSCI ACWIの国別投資比率はおわかりいただけたでしょうか?
では、次にご紹介するのはどのような株式で構成されるのかということです。
構成株式数
MSCI ACWIの構成株式数は3,060(2019.11.29現在)となっています。
ライバルの全世界株式指数であるFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは7,777銘柄(2019.11.29現在)となっており、
銘柄数がやや少ないのが特徴です。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは大型・中型・小型株すべてを対象にしているのに対し、
MSCI ACWIは大型株・中型株のみで構成されているのが特徴的です。
しかしながら、双方とも株式数は非常に多いので問題はありません。
投資上位企業について
つぎは投資上位企業についてです。
上位10企業はすべてアメリカ企業で占められています。
投資先企業 | 国名 | 投資割合 |
---|---|---|
アップル | アメリカ | 2.45% |
マイクロソフト | アメリカ | 2.23% |
アマゾン | アメリカ | 1.54% |
フェイスブックA | アメリカ | 0.99% |
JPモルガン&チェース | アメリカ | 0.86% |
アルファベットクラスC(Googleの親会社) | アメリカ | 0.83% |
アルファベットクラスA(Googleの親会社) | アメリカ | 0.79% |
ジョンソン&ジョンソン | アメリカ | 0.74% |
アリババ | 中国 | 0.69% |
VISA A | アメリカ | 0.65% |
ライバルのFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスとはほとんど上位企業については同じ順位です。
若干比率は異なりますが、微々たるものですね。
まとめ:8資産均等型のあとの競争は日本を含む全世界株式!?
今回圧倒的なローコストがウリの三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimに新ファンド「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が登場することについて感じたことをまとめてみました。
私が感じたのは
- ローコストで全世界株式(日本を含む)が増えるのは好ましい
- 株式ファンドはこれ1本でいいのでは
- 解約してまでの乗り換えは控えめに
というものだとお話ししました。
今まで日本を含む全世界株式インデックスファンドがあるようでなかったのですが、楽天VT登場後、現在はSBIアセット・マネジメントの「雪だるま」との三つどもえの様子が出てきています。
全世界株式のファンドが複数登場する前はバランスファンドの8資産均等型が複数リリースされました。
それがこの日本を含む全世界株式インデックスファンドに競争の舞台が移りそうです。
ここからさらにライバルが登場するのか、あるいはこのeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がファイナルアンサーなのか様子を見ていきたいと思います。
とりあえずは、子供のために積み立てているインデックスファンドをeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)にしようかな?
では、またよろしくです!
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